37条書面とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

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37条書面とは

交付者(誰が)

  1. 業者が
  2. 業者間の取引でも書面の交付を省略することはできません。
  3. 重要事項説明書(35条書面)をもって、37条書面に代えることはできません。

交付時期(いつ)

契約成立後遅滞なく交付します。

交付の相手方(誰に/自ら買主・自ら売主の場合)

  1. 自ら当事者として契約締結した場合

    →その相手方に

    例)
    ・自ら売主(宅建業者)の場合→買主へ
    ・自ら買主(宅建業者)の場合→売主へ

  2. 代理して契約締結した場合
  3. 媒介によって契約締結した場合
  4. 複数の宅建業者が関与する場合
    ・作成:いずれかの宅建業者
    ・記名押印:すべての宅建業者の宅建士
    ・交付:いずれかの宅建業者
    ・責任:すべての宅建業者

交付の形式(どのように)

  1. 書面に宅建士が記名押印して
  2. 37条書面に記名押印する宅建取引士は、35条書面に記名押印した

宅建取引士と同一の者である必要はありません。 書面の交付自体は、宅建取引士でなく従業者が行っても大丈夫です。

記載事項(なにを)

平成30年4月1日施行の宅建取引業の改正により、インスペクションに関する事項が追加となりました。

インスペクションとは、建物状況調査のことを言います。
下記の「3.既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」がそれにあたります。

絶対的記載事項 売買・交換 賃借
1.当事者の氏名・住所
2.宅地建物を特定するため必要な表示
3.既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の
状況について当事者の双方が確認した事項
×
4.代金・交換差金・借賃の額、支払時期、支払方法
5.宅地建物の引渡しの時期
6.移転登記申請の時期 ×


相対的記載事項
7.代金・交換差金、借賃以外の金銭の授受に関する定めが
あるときは、その額、授受の時期、目的
8.契約の解除に関する定めがあれば、その内容
9.損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあればその内容
10.代金または交換差金についてローンのあっせんの定めがあるときは、ローンが成立しない時の措置 ×
11.天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容
12.宅地もしくは建物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容 ×
13.宅地または建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容 ×

34条35条37条書面 まとめ

37条書面には必要で、35条書面には不要な事項

以下5項目は、37条書面にのみ記載し、35条書面には不要です。

  • 「絶対的記載事項」

    4.支払い額・時期・方法
    5.引渡し時期
    6.移転登記申請時期

  • 「相対的記載事項」
    11.危険負担に関する内容
    13.租税・公課に関する内容

抵当権の登記がされている物件の取引の場合は?

H23 問34

「1. 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の貸借の媒介をするにあたり、貸主から当該登記について告げられなかった場合でも、35条書面及び37条書面に当該登記について記載しなければならない。」

答え:×

登記された権利の種類や内容等は、35条書面の記載事項ですので、37条書面には記載する必要がありません。

保証人の氏名や住所は記載事項?

H25 問35

宅地建物取引業者が媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合、宅地建物取引業法第37条の規定により当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せとして、正しいものはどれか。

ア.保証人の氏名及び住所
イ.建物の引渡しの時期
ウ.借賃の額並びにその支払の時期及び方法
エ.媒介に関する報酬の額
オ.借賃以外の金銭の授受の方法

答え:イ・ウ

アの保証人の氏名および住所は記載事項ではありません。そもそも保証人がいない契約もあるので、必ず記載しなければならない事項であるはずがありません。エの「媒介に関する」報酬の額は、絶対的記載事項ではありません。「売買・交換に関する」媒介契約であれば、記載事項となりますのでご注意ください。オの「借賃以外の金銭の授受の方法」は、相対的記載事項ですので、必ず記載しなければならないわけではありません。

  媒介契約
(34条)
重要事項説明書
(35条)
契約書面
(37条)
時期 媒介・代理契約の締結時 契約成立前 契約締結時
書面化 売買・交換のみ 賃借は義務なし 絶対必要 絶対必要
相手方 媒介 代理の依頼人 買主・借主 売主・買主 貸主・借主
作成(交付・説明) 業者が作成・交付 説明義務は業者が負うが、実際に説明するのは宅建取引士 業者が作成・交付の義務があるが従業者にさせることができる
記名押印 業者 宅建取引士 宅建取引士
宅建取引士証提示義務 必ず提示 請求があれば提示

35条書面と37条書面 瑕疵担保責任のポイント

35条:瑕疵担保責任の履行に関し、保証保険契約の締結その他の措置を講じるかどうか、および、講ずる場合のその措置の概要

37条:瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容

引渡しの日から、2年間瑕疵担保責任を負うという内容で契約したら?

37条書面にのみ記載します

保証保険契約を締結しない場合は?

37条書面にのみ記載します
※35条書面は措置を講じるか講じないかを記載します

保証保険契約を締結する場合は?

35条書面・37条書面両方に記載します


プレートを持つ女性

37条書面に関するよくある質問

宅建業者が自ら買主となる場合、買い手が契約書を交付することなどあるのでしょうか。
買主が宅建業者であれば、相手方が宅建業者でも、そうでなくても買主が交付します。

売主と買主の双方が宅建業者なら、双方に37条書面の交付義務があります。
宅建業者でない売主から、宅建業者が土地を購入した場合、35条書面交付と重要事項説明は不要ですか?
そしてその際、37条書面の交付は必要ですか?
この場合、売主は35条書面の交付と重要事項の説明を行う必要はありません。
37条書面についても、売主は交付する必要はありません。
売主・買主ともに業者の場合は、37条書面の交付はどのようになりますか?
売主も買主も宅建業者の場合には、それぞれ37条書面の交付義務があります。 交付者(誰が)の部分で、業者間の取引でも書面の交付を省略することはできないとしています。 また、「交付の相手方(誰に)」の1番で、自ら当事者として契約締結→その相手方にとなっていますので、業者が売主と買主の場合は、それぞれが相手方に対して交付が必要になります。

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この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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