法定代理人とは?法定代理人の定義や権限などを詳しく解説!|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

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法定代理人とは?法定代理人の定義

法定代理人を簡単に言うと、未成年者の保護者、つまり親のことを言います。(民法818条)

未成年者に関し、親権者がいないか、親が子の財産の管理権を持っていないときは、未成年後見人が法定代理人となります。

または、自分1人では日常生活がままならないような人(成年被後見人)の配偶者となった人も同様に法定代理人となります。(民法840条)

法定代理人を定義づけるとすれば、「法律により代理権を有することを定められた者」といえるでしょう。 法定代理人になるには、特に弁護士などの資格は必要ありません。

法定代理人の権限

また、法定代理人の権限として以下の2つがあります。

  1. 未成年者を代理して法律行為を行う、または未成年者の法律行為につき同意を与えることができます。(5条、824条、859条)
  2. 未成年者が保護者の同意を得ずに行った法律行為について、取消権や追認権を行使できます。(120条)(122条)
法定代理人の権限

誰にとって法定代理人が必要?

未成年者の他にも法定代理人を必要とする場合があります。以下順番に見ていきましょう。

  1. 成年被後見人
  2. 未成年者
  3. 被保佐人
  4. 被補助人
これらは制限行為能力者と呼ばれ、1から順に保護の必要性が高いとされています。詳しくは下図イラストにてご確認ください。 制限行為能力者

法定代理人の同意を要する法律行為と、未成年者が単独で行うことができる行為

法定代理人の同意を要する行為

  1. 相続の承認・放棄
  2. 負担付贈与を受けること
  3. 債務の弁済を受けること(債務の消滅)

負担付贈与について

耳慣れない言葉ですので、ここで単語の意味を見ていきましょう。

負担付贈与とは、文字通り何かをもらう代わりに何かを負担するというものです。

例)300万円/年を贈与する代わりに、介護をして一緒に暮らしてもらう
例)親が建てた家を子どもに贈与する代わりに、残っている住宅ローンを払ってもらう

このように、負担付き贈与は、贈与を受ける側にも金銭的に負担が生じることがありますので、未成年者の場合は、法定代理人の同意を必要としています。

未成年者が単独で行うことができる行為

  1. 負担なし贈与を受けること
  2. 債務免除を承諾すること
  3. 無償寄託の受寄物の返還
  4. 子の認知
  5. 遺言(15歳以上のものに限る)
  6. 氏の変更(15歳以上の者に限る)
  7. 縁組の意思表示(15歳以上の者に限る)
  8. 法定代理人の同意を得ずにした行為の取消し

無償寄託の受寄物の返還を詳しく見ていきましょう。

単語が見慣れず、難しいものを使っていますが、なんのことはない、タダで受け取ったものを返すという内容です。

例)いとこの引っ越し準備のため、細々とした荷物を預かりました。その後、無事引っ越しが終わったようなので、荷物を返しました。

300万円と介護

任意代理人との違い

法定代理人とは、未成年者の場合の親権者、もしくは法律で定められた代理人でした。では、任意代理人とはどのような人のことを言うのでしょうか。さっそく見ていきましょう。

任意代理人とは、本人が自らの意思で他人に代理権を与え、代理人に定められた人のことをいいます。宅建の試験においては、制限行為能力者ではなく、復代理などの分野において目にすることが多い単語です。

本人と代理人と復代理人

法定代理人のよくある質問

「宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者Aに関して、Aの法定代理人Bが3年前に建設業法違反で過料に処せられているとき、Aは宅建取引士資格登録を受けることができない。」という問題文を解説してください。

成年者と同一の能力を有しない未成年者について、法定代理人が欠格要件に該当しなければ未成年者は宅建業の免許を受けることはできます。 しかし、宅建取引士の登録については、「成年者と同一の能力を有しない未成年者」については、法定代理人の状態は無関係で、成年者と同一の能力を有しない未成年者という時点で、その未成年者は宅建取引士の登録を受けることはできません。 ですので、この問題の場合、法定代理人Bが3年前に建設業法違反で過料とありますが、このことは無関係で成年者と同一の能力を有しない未成年者はそもそも宅建取引士資格登録を受けることができません。

成年被後見人の法定代理人と未成年者法定代理人は手続きが必要ですか。未成年者は両親が手続きなしで、成年後被見人の法定代理人は家庭裁判所で審判で決まりますか。

未成年者の法定代理人は原則として親権を有する父母となります。 例外的に親権を有する者がいなくなった場合に、裁判所への請求によって未成年後見人が選任されます。 一方、補助、保佐、後見といった制限行為能力に関する法定代理人は、裁判所に対する申立が必要でそれぞれの審判を経て、保佐人、後見人等の代理人が付されます。

「法定代理人から営業の許可を受けた未成年者」が免許を受けた後で、その法定代理人が欠格要件に該当することになっても、免許は取り消されないのでしょうか?

ご理解の通り、免許が取り消されることはありません。

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この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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