売主の担保責任とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

売主の担保責任とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

売主の担保責任
目次

売主の担保責任とは

売主や買主の善意または悪意によって、損害賠償請求・解除・代金請求などに差異が生まれます。

ケース別に考え、買主がどの程度まで売主に対して責任を求められるかを示したものが

売主の担保責任

です。

隠れたる瑕疵があった場合

例)

次郎さんは太郎さんから、太郎さんが住んでいた中古の住宅を購入しました。

しかし、後にこの家の床が隆起していることがわかり、生活に支障が出ています。

このようなケースが、隠れたる瑕疵がある場合です。

そして、隠れたる瑕疵の責任を、通常、瑕疵担保責任と言います。

担保責任を負わない旨の特約をした時でも、売主が知っていながら買主に告げなかった事実については、担保責任を免れません。

隠れたる瑕疵があった場合

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    

用益的権利による制限があった場合

例)

用益的権利とは、地上権・永小作権・地役権・留置権・質権・対抗力のある賃借権などを言います。

次郎さんは太郎さんから土地を買いました。

次郎さんはここに家を建てるつもりでしたが、この土地には三郎さんのために地上権が設定されているので、家を建てられないことがわかりました。

このようなケースが、用益的権利による制限がある場合です。

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    

数量不足・一部滅失の場合

例)

次郎さんは太郎さんから10kgで5千円のお米を買いました。

しかし家に持ち帰り、重さを計ってみると8kgしかありませんでした。

このようなケースが、数量不足・一部滅失の場合です。

そしてこの場合を通常数量指示売買と言います。

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ×    
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×    
代金減額請求 ×    
責任追及の期間制限 知った時から1年 ×    

全部他人の物であった場合

例)

次郎さんは、太郎さんから、まったく関係のない第三者である三郎さんの家を売ってもらう約束をしました。

しかし、三郎さんが「家を売るつもりはまったくない」と言っているので、結局太郎さんは家を売ることができません。

このようなケースが、全部他人の物であった場合です。

このように他人物売買の場合でも、契約は有効に成立します。

ただし、全部他人の物であることを売主自身が知らなかった時(善意の売主)は、売主から契約を解除することができます。

このとき買主が善意であったなら、損害賠償をしなければなりません。買主が悪意の場合は、契約内容である「権利の移転」ができないことを通知すれば良いです。

全部他人の物であった場合

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ○     ×    
解除 ○    
代金減額請求 × ×    
責任追及の期間制限 × ×    

一部が他人の物であった場合

例)

次郎さんは太郎さんから土地を売ってもらうことになりました。

しかし、その土地の一部は三郎さんのものであり、三郎さんは手放すことを拒んでいます。

このようなケースが一部他人の物であった場合です。

全部他人物・一部他人物の場合、売買の目的物について権利を主張する者がいて、買主が買い受けた権利の全部または一部を失う恐れがあるときは、買主はその危険の限度に応じて、代金の全部または一部の支払いを拒むことができます。

一部が他人の物であった場合

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ×
解除 ○ ※目的不到達の場合 ×
代金減額請求
責任追及の期間制限 知った時から1年 契約の時から1年

担保的権利による制限があった場合

例)

次郎さんは太郎さんから家を買いました。

しかし、その家には抵当権がついていて、その実行により結局次郎さんは家の所有権を失ってしまいました。

このようなケースが、担保的権利による制限があった場合です。

責任を追及できるのは、抵当権などが実行され、所有権を失ったときに限ります。

買い受けた不動産について、先取特権・質権または抵当権の登記があるときは、買主は抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができます。

担保的権利による制限があった場合

<買主が売主に対して求められる責任>

善意 悪意
損害賠償請求 ○ ※所有権喪失のときまたは所有権を保存した場合
解除 ○ ※所有権喪失の場合
代金減額請求 × ×
責任追及の期間制限 × ×

売主の担保責任に関するよくある質問

(問題)
注文者Aと請負人Bの、建物の建築請負契約に関し、Bの担保責任を生じさせる瑕疵は、売主の担保責任を生じさせる瑕疵とは異なり、隠れた瑕疵であることを要しない。

(解答解説)
○請負人の担保責任を生じさせる瑕疵は、隠れた瑕疵であることを要しない。完成物が注文内容と食い違っている以上、容易に発見できる瑕疵であっても、注文者に担保責任の追及を認める必要がある。

上記の問題・解説において、売主の担保責任を生じさせる瑕疵は隠れている必要があるのでしょうか?
売買の場合、隠れていなければ、その場で気づいて指摘ができます。隠れているから後からトラブルになるため、隠れたる瑕疵であることが必要とされています。
(問題)
AとBは、A所有の土地について、所有権を移転する意思がないのに通謀して売買契約を締結し、Bの名義に移転登記した。Bがこの土地にCに対する抵当権を設定し、その登記をした場合で、CがAB間の契約の事情を知っていたときは、Aは、Cに対して抵当権設定行為の無効を主張することができる

(解答解説)
○通謀虚偽表示では、悪意の第三者は保護されません(94条2項の反対解釈)

上記の問題・解説の理解ができないので、説明をお願いします。
第三者Cは通謀虚偽表示の事実を知っていますので、このような第三者は保護する必要はないと考え、Aは無効を主張することができるとされています。
買主が悪意であるときに、全部他人物は解除できますが、一部他人物は解除できないのはなぜでしょうか?
全部他人物売買の場合、買主が「悪意」でも、「契約解除」ができます。
一方、一部他人物売買の場合、買主が「悪意」のとき「契約解除」はできません。これは、全部他人物売買の場合には、いつまであっても他人の物のままであっては契約を残しておいても意味がないので、悪意でも解除することができます。

そして、一部他人物の場合には、その一部が他人のものでもしかしたれ手に入らないかもしれないことがわかっていながら契約を締結していますし、一部以外は手に入れることができますので、契約は解除できません。