不可分性とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

不可分性とは
まず「不可分」とは「分けることができない」という意味です。被担保債権について全部の弁済がなされるまで、目的物の全部の権利を行使することができます。
英語では、atomicityと表記します。atomicityは不可分性の他に、原子数や原子価といった意味があります。

地役権における不可分性
一般に、多くの権利は「人」の便益のためにあります。
例えば所有権は人があるものを自分のものだと所有するための権利です。しかし、地役権は「人」の便益のためではなく、「土地」の便益のために存在します。
つまり、地役権は要役地の利用価値を高めるための権利と言えます。
地役権は、1つの土地に対して、利用価値を高める目的で設定されますので、仮に土地がAさん・Bさん2名の共有であったとしても、どちらか一方の土地にだけ地役権が成立するということはあり得ません。
なぜなら、例え登記上では土地の持分が分けられていたとしても土地は一体としてみるので、地役権を定めるのであればAさんBさん両方の土地に、定めないのであれば両方に定めないという二者択一になります。このような地役権の性質を不可分性と言います。

留置権における不可分性
複数の物に対して留置権を有する留置権者は、債権額の全額の弁済を受けるまで、複数の物全てに対して留置権を行使することができます。
仮に一部弁済があったとしても、留置物の一部を返還する必要はありません。これは民法第296条に規定された❝留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる❞という規定によるものです。
この条文は、先取特権、質権、抵当権の全てに準用されます。

不可分性に関するよくある質問
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抵当権における不可分性とは何ですか?
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抵当権における不可分性とは、借金の一部だけ返してもらっても、抵当権は何も変わらず残るということです。
すべて借金を返すと抵当権も消えます。
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不可分性の意味をかみ砕いて教えてください。
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不可分性とは、被担保債権について全部の弁済がされるまで、目的物の全部の権利を行使することができる性質を言います。
抵当権を例にとりご説明します。
例えば、Aさんが家を購入するために銀行でローンを組んだとします。このとき家を担保に抵当権を設定しました。
Aさんは月々決まった額を返済しています。だからといって、月々の返済額に応じて抵当権を抹消したりはしません。
このような性質を不可分性と言います。