相殺とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

相殺とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

相殺とは
目次

相殺とは

2つの債権を意思表示により消滅させることを言います。

日常生活でもよく「相殺する」という使い方をするかと思います。宅建での使い方も、辞書的な意味とだいたい同じです。相殺は「帳消しにする」「チャラにする」などと言い換えることができます。

相殺と差し引きの違いは、引いた結果残りがあるかないかです。

つまり、相殺の場合は「帳消しにする」という同義語からもわかるように、引いた結果、0(ゼロ)になる場合を言います。

一方差し引きは、自分の数字から相手の数字を引いた結果、残りがある場合を言います。民法では第505条で、商法では第529条で定められています。

英語では

英語では、「Offset proper form」または、「Right of setoff」と言います。

「Offset」 や「Setoff」は「相殺する」、「Proper」は「適切な」「Form」は「形状」「Right of」は「正当に」といった意味です。 相殺の英語表記

相殺の考え方

例)石田さんは、宇野さんから100万円借りていましたが、それとは別に宇野さんいダイヤを100万円で売りました。石田さんは、ダイヤの代金100万円を、100万円の借金と帳消しにすることはできないのでしょうか?

相殺の考え方

相殺の要件

  1. 2人の者がお互いに同種の目的の債務を負担していること
  2. 両方の債務が弁済期にあること
  3. ただし、相殺しようとする者は自己の債務(受働債権)については期限の利益を放棄することができるので自分が相手に対して持っている債務(自働債権)さえ弁済期にあれば問題ないです。
    ※期限の利益を放棄するとは…相手が自分に対し、返済日がきていなくても返済を要求できるようになることを言います。

    相殺の要件
  4. 債務の性質が相殺を許すものであること
  5. 当事者間に相殺禁止特約がないこと
  6. 不法行為による債権を受働債権とするものでないこと
  7. 例)矢田さんが結城さんからお金を借りた後、なかなか返済をしませんでした。 それに業を煮やした結城さんが、お金を返してくれないのなら、矢田さんに車をぶつけてケガさせてその損害賠償請求権と、借金をチャラにしてやろうと考えました。

    こんなこと、認められるわけがないですよね。「車でぶつけてケガさせた損害賠償請求権」が今回で言うところの「受働債権」です。

    これを認めてしまえば、いたるところで暴力が多発してしまいますね。だから、不法行為による債権を受働債権とする相殺は認められていないのです。

    しかし、実際に矢田さんが車でぶつけられてケガさせられたとしたら、矢田さんから借金の帳消しを働きかけることは可能です。つまり、不法行為を自働債権とする場合は相殺可能ということです。

自働債権と受働債権について

相殺の方法

  1. 当事者の一方から相手方に対する意思表示により行います。
    この場合、相手方の承諾は必要ありません。
  2. ただし、1の意思表示には条件や期限をつけることはできません。
    ※条件とは…友人に貸したお金を返してもらったら相殺する、など。
    ※期限とは…10日後に相殺する、など。
相殺の方法

相殺の効果

対等額で2つの債権は消滅します

例)
・自働債権・受働債権ともに100万円の場合→2つの債権は全て消滅します。
・自働債権100万円、受働債権80万円の場合→自働債権が20万円残ります。

2つの債権は、相殺が可能(相殺適状)となった時点にさかのぼって消滅し、その時点から無かったことになります。

相殺の効果相殺適状

相殺の条件

2つの債権を弁済する場所が異なる場所でも大丈夫

理由:実際にお金を支払わない帳消しという行為は、片方が東京もう片方が大阪という異なる場所で支払っても、特に問題となることはないからです。

自働債権について消滅時効が完成した場合

自働債権について消滅時効が完成した場合でも、完成前に相殺適状に達していた場合は、相殺できます。 理由:時効完成前に相殺適状にあれば、お互いに債務を帳消しにしたものと考えるのが普通だからです。

相殺の条件

相殺に関するよくある質問

「不法行為による債権を受動債権とする相殺はできない」というのがイメージできません。 例えば、どんな場合がそれに当てはまるのでしょうか。

現実的ではないかもしれませんが、以下の事例を設定します。

たけし君が相殺をすることを、裕次郎君に言う場合を想定します。

たけし君は裕次郎君に10万円お金を貸しています。たけし君はやんちゃで、いたずらをして裕次郎君にけがをさせてしまいました。 その治療費として10万円支払わなければいけなくなってしまいました。

まとめますと、たけし君は裕次郎君に10万円の債権を持っておりますが、同時に10万円の支払い義務も負っております。

この場合、たけし君から見ますと、裕次郎君にお金を返してという10万円の債権のことを「自働債権」といいます。

つまりたけし君が持っている債権のことを自働債権といいます。また「働」は「動く」ではなく「働」になります。

一方、たけし君から見たたけし君が支払わなければならないものを「受働債権」といいます。

ここで、問題ですが、このケースのようにけがをさせてしまったケースを「不法行為」に基づく債権といいます。

「保証人は相殺の抗弁権を援用できる」という意味は、連帯保証人も援用できるということでよいでしょうか?

連帯保証人は、主たる債務者がもつ反対債権をつかって、相殺することができます。

相殺の要件について簡単に教えてください。

相殺の要件とは「2人の者がお互いに同種の目的の債務を負担していること」「両方の債務が弁済期にあること」「債務の性質が相殺を許すものであること」「当事者間に相殺禁止特約がないこと」「不法行為による債権を受働債権とするものでないこと」です。

よく相殺と減殺という言葉がでてくるのですがどういう意味なのでしょうか?

はじめに、相殺とは、たとえばAがBに100万円を貸していたところ、以前にBもAに対し100万円を貸していた場合にはお互いが100万円を返済して受け取ってもよいのですが、そうではなく、「相殺」することで、お互いの借金(債権・債務)を帳消しにすることをいいます。

つぎに、減殺とは、相続の分野で遺留分減殺請求というものがあります。

亡くなった人は(被相続人)は、生前所有していた財産については、遺言によって自由に処分することができます。

しかし、もし、被相続人が遺言によって『全ての財産を愛人に譲る』とした場合、残された家族が生活に困ってしまうこともありえます。

そこで、残された者の生活保障等の必要上、相続人には必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利が民法によって与えられています。

この権利が遺留分減殺請求です。