先取特権とは?一般の先取特権と特別の先取特権の違いや効力についてわかりやすく解説!|わかりやすく宅建解説

先取特権とは?一般の先取特権と特別の先取特権の違いや効力についてわかりやすく解説!|わかりやすく宅建解説

先取特権とは?一般の先取特権と特別の先取特権の違いや効力についてわかりやすく解説!|わかりやすく宅建解説
目次

先取特権とは

まず読み方ですが、「さきどりとっけん」または、「せんしゅとっけん」と読みます。それでは、さっそく意味を見ていきましょう。

先取特権とは、法律で定められたある種の権利を、債権者の財産から他の債権者を押しのけて、優先的に弁済を受けることができる権利をいいます。

例)マンションに住んでいる沼田さんは、管理費を滞納しています。この管理費は、先取特権として他の債権者よりも優先してマンションの管理組合が返済を受けることができます。

先取特権は、物的担保の1つで登記することができる権利です。

物的担保は、「法定担保物権」と「約定担保物権」に分かれており、先取特権は前者「法定担保物権」の1つです。「約定担保物権」の中で宅建での頻出論点は「抵当権」と言えるでしょう。担保に関しては下記図で詳しく触れていますので、ご参照ください。

担保

一般の先取特権と特別の先取特権の順位

一般の先取特権と特別の先取特権の順位

まず、先取特権には「一般」と「特別」があります。それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。

民法第306条 一般の先取特権

一般の先取特権は4つあります。

  1. 共益の費用
  2. 雇用関係
  3. 葬式の費用
  4. 日用品の供給

1から順に優先順位が高くなっています。

まず共益の費用とは、債権者が自分を含めた他の債権者のために使ったお金のことです。これを優先的に回収することができます。

次に雇用関係とは、会社が倒産した場合などに、従業員が優先的に給料をもらう権利です。

そして、葬式の費用は、葬儀会社は他の債権者に優先して費用を回収できるというものです。これは、一見してお金がなさそうな人が、葬式の依頼に葬儀社を訪れた場合、葬儀社としては、お金を支払ってもらえないかもしれないという不安から、依頼を断る可能性がありますよね。しかし、わたしたち日本人にとって葬式とは文化的に無くてはならないものです。そのため、葬儀社が優先してお金を回収できるようにし、貧富に関わらず皆が平等に葬式を挙げられるようにという政策的な配慮からできた内容なのです。

最後に日用品の供給についてです。日用品とは、具体的に電気やガスのことをイメージされるとわかりやすいかと思います。これも、3の葬式の費用と同様に、皆が安心して日常生活を送れるよう、電気やガス会社に優先的にお金を回収できる権利が与えられたものです。

民法第311条 動産の先取特権
民法第325条 不動産の先取特権

この2つを合わせて特別の先取特権といいます。

まず、動産の先取特権から見ていきましょう。

  1. 不動産の賃貸借
  2. 旅館の宿泊
  3. 旅客または荷物の運輸
  4. 動産の保存
  5. 動産の売買
  6. 種苗または肥料の供給
  7. 農業の労務
  8. 工業の労務

この動産の先取特権は、ある特定の財産についてのみお金を回収する権利があります。つまり、先に説明した一般の先取特権のように、総財産から弁済を受けることはできないということです。

例えば、2号の旅館の宿泊では、旅館の経営者は、宿泊者が宿泊代を滞納した場合、宿泊者が旅館に持ち込んだ荷物についてのみ先取特権があります。例え、家にきらびやかな宝石がいくつもあったとしても、旅館に持ってきていなければ、優先的に弁済を受けることはできないのです。

また、3号の旅客または荷物の運輸に関してもわかりやすいかと思います。これも2号同様、送料を回収できない場合、荷物についてのみ先取特権があるということです。

次に不動産の先取特権についてです。

  1. 不動産の保存
  2. 不動産の工事
  3. 不動産の売買

まず、不動産の保存について見ていきましょう。これは、主に建設会社が金融機関への対抗手段として用いることが多いものです。建物の建築を請け負った建設会社が、棟上げという建設の中間ほどの工程まで終わった時点で棟上げから完成までの建築費を、不動産保存費として確保します。不動産保存費は、それよりも先に登記された抵当権よりも優先して回収することができるとされています。(民法第339条)

次に不動産の工事、不動産の売買についてですが、これは語句そのままの意味なので割愛いたします。

先取特権の効力

先取特権の効力

先取特権には4つの効力があります。それぞれ見ていきましょう。

  1. 優先弁済的効力
  2. 物上代位性
  3. 対抗力
  4. 追及力

優先弁済的効力とは、今まで説明してきた、他の債権者よりも優先して弁済を受けることができるという先取特権の代表的な効力です。

物上代位性とは、例えば担保物権である家が火事で燃えたとします。そしてこの家は火災保険に入っており、今回の火災で保険金がおりることとなりました。その場合、保険に対しても効力が及ぶという内容です。ただし、物上代位性は特定の目的物が対象となりますので、総財産を対象とする一般の先取特権には認められておりません。動産・不動産の特別の先取特権に認められる権利となります。

対抗力とは、一般の先取特権は、特に不動産の登記をしなくても、他の債権者に対抗できるという内容です。ただし、登記をした第三者に関してはこの限りではありません。

追及力とは、担保物権の所有権が第三者に渡ったとしても、この担保物権に関して第三者に権利を主張できるという内容です。ただし、動産の先取特権については追及力は認められていません。

先取特権に関するよくある質問

先取特権がどういうものなのか解りません。

先取特権は、「法律で定められた債権を有する者が、他の債権者に優先して弁済を受ける権利」です。

先取特権は、抵当権や質権などと同様に優先的弁済を受ける権利ですが、先取特権は「民法」で規定されている権利に対して、抵当権や質権は、契約等を交わすことで成立する権利です。

先取特権における物上代位と、抵当権における物上代位の違いを教えてください。

抵当権の物上代位について、結論からいうと、判例により、賃料に対する物上代位について、抵当権設定者が取得する賃料に対しては抵当権の効力を及ぼすことができます。

しかし、抵当権設定者がお金を返さないからといって、抵当権設定者が賃貸人からもらえる賃料を賃借人が取得する転貸賃料についてまで抵当権の効力を及ぼすことはできません。

抵当権者が物上代位することはできるのはご理解いただけると思います。

しかし、賃借人(転貸人)が転借人からもらえる賃料について抵当権者が物上代位できるとなると、抵当権設定者(賃借人)の責任に関係ない賃借人(転貸人)にはかわいそうだと考えることができます。

「先取特権は民法の定める場合等に成立する法定担保物権」の意味がわかりません。

先取特権は法律の規定により当然に成立する担保物権(法定担保物権)であり、債権者と債務者との間の契約によっては成立するものではありません。つまり、契約をしなくても、民法で当然に成立するものとして規定されている権利です。

たとえば、Aさんは甲社の社員で、Aさんに対して未払いの給料があるのに甲社が倒産してしまった場合、他の債権者に優先して、まずはAさんに弁済(未払い給与の支払い)しなければならないというものになります。一方、質権は当事者間の契約によって成立する約定担保物権です。言い換えると、当事者の間で契約があってはじめて成立する権利と言えます。