被保佐人とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

被保佐人とは?
目次

被保佐人とは

制限行為能力者の一種で、判断能力が著しく不十分な人を言います。

制限行為能力者とは

判断能力に問題があったり、経験が乏しいことにより、契約や法律行為上の約束を守らせることが難しい人のことを言います。 制限行為能力者は大きく4つに分けることができます。

未成年者

20歳未満の人をいいます。 なお、未成年者でも婚姻すれば成年者とみなされます。

一人でできない行為

原則:保護者の同意がなければすべて一人ではできません。

例外:下記3点は取消不可

  1. 単に利益を得たり免れたりする行為
  2. 処分が許された財産の処分 例)小遣い
  3. 保護者が未成年者に営業を許可した場合、その営業に関する行為
一人でやったら?

取り消すことができます。(無効ではない)

この取消は制限能力者一人でできます。

誰が取り消すか? 未成年者本人、法定代理人、能力者になった本人
保護者は? 親権者、未成年後見人、法人
保護者の権限 同意権○ 代理権○ 取消権○ 追認権○

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所による後見開始の審判を受けた 人を言います。重度の認知症患者がその例です。

一人でできない行為 原則:日用品の購入など日常生活に関する行為以外の行為は取消可能です。それ以外の行為は、後見人の同意を得ても一人ではできません。成年被後見人はかなり能力が低いので、たとえ後見人が同意しても、その同意に従った行為を行うとは考えられないからです。
一人でやったら?

取り消すことができます。(無効ではない)

この取消は制限能力者一人でできます。

誰が取り消すか? 成年被後見人本人、成年後見人
保護者は? 成年後見人=法定代理人
保護者の権限 同意権× 代理権○ 取消権○ 追認権○

被保佐人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な人で、家庭裁判所による補佐開始の審判を受けた人を言います。

一人でできない行為

原則:すべての取引を一人ですることができます。これは取消不可です。

例外:次の重要な取引だけ法定代理人の同意が必要となります。同意がなければ取消可能となります。

  1. 借金をしたり、他人の保証人になること
  2. 相続を承認したり、他人の保証人になること
  3. 不動産の取引
  4. 重要な動産の取引
  5. 5年を超える宅地の賃貸借
  6. 3年を超える建物の賃貸借
  7. 建物の新築・改築・増築・大修繕を頼むことなど
一人でやったら?

取り消すことができます。(無効ではない)

この取消は代理人の同意等は不要で、制限能力者一人でできます。

誰が取り消すか? 被保佐人本人、保佐人
保護者は? 保佐人
保護者の権限

同意権○ 代理権○ 取消権○ 追認権○

同意権については、当然にある権利ではなく、一定の者からの請求と本人の同意によって、付与されます。

被補助人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な人で、家庭裁判所による補助開始の審判を受けた人を言います。

一人でできない行為 当事者が申し出た範囲内で家庭裁判所が定めた「特定の法律行為」
一人でやったら?

取り消すことができます。(無効ではない)

この取消は制限能力者一人でできます。

誰が取り消すか? 被補助人本人、補助人
保護者は? 補助人
保護者の権限

同意権○ 代理権○ 取消権○ 追認権○

同意権については、当然にある権利ではなく、一定の者からの請求と本人の同意によって、付与されます。



下記イラストの順番で保護の必要性が大きくなります。

被保佐人とは?

被保佐人は宅建業の免許を受けることができるか?

免許の基準の欠格要件として、申請者自身に問題がある場合は、免許を受けることができません。 それでは、欠格要件を詳しく見ていきましょう。

欠格要件

  • 成年被後見人
  • 被保佐人
  • 破産者で復権を得ない者
  • 暴力団員等

注意点

  • これらの者は能力の点で問題があるので排除されます
  • 未成年者と被補助人は含まれません
  • 破産者は復権を得れば即OK
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

被保佐人に関するよくある質問

制限行為能力者の中で自分自身が制限行為能力者になる審判を受けるにあたり本人の同意が必要なのは、被補助人だけだと思っていました。しかし、被補助人の同意は必要ないのですか?

補助開始の審判について、本人以外の者の請求による場合には、本人の同意が必要です。しかし、成年被後見人や被保佐人の審判については、本人の同意は要件とされていません。

被保佐人の一人でできない行為の原則にすべての取引を一人ですることができる→取消不可とあります。この取消不可というのは保護者の同意のもと取引を一人でした場合はその取引は取消できないということですか?

『被保佐人の一人でできない行為の原則にすべての取引を一人ですることができる→取消不可』
上記の「取消不可」の意味ですが、「例外」に記載されている事以外の取引を一人で行った場合、原則、有効であるという事になります。
例えば、保佐人の同意なく、ファストフード店でハンバーガーセットを購入した場合、取消は出来なく、有効な取引になります。 ドラッグストアで保佐人の同意なく、歯ブラシ、歯磨き粉を買った場合も同様に、有効な取引になります。 しかし、保佐人の同意なく、車を購入するなど「重要な動産」を購入した場合は、「取り消すことができる」という事になります。この場合は、保佐人の同意が必要という事になります。

制限能力者と契約等をした相手方から、その法定代理人、保佐人、補助人に対して一か月以上の期間内に、その契約等を追認するか否かを返答するように催告することができるとされておりますが、これは、被保佐人・保佐人どちらに対してもできるのですか?

保佐人・被保佐人に対しては、保佐人へ催告もでき、被保佐人にも催告出来、相手方の判断により選択できることとなっております。

この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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