善管注意義務とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

善管注意義務とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

善管注意義務とは?
目次

善管注意義務とは

善良なる管理者の払うべき注意義務を言います。より慎重に注意を払う義務を負うということです。職業や地位に応じて相応の思慮分別を要求される義務と言い換えることができます。職業や地位に応じてというのは、客観的な判断によります。

英語では、「duty of care」と表記します。dutyとは、「義務」や「責任」。「care」とは、「気にかける」や「心配」といった意味です。これと対比する言葉で「自己の財産に対するのと同一の注意」があります。自己の財産に対するのと同一の注意は、試験対策上あまり重要視しなくても良い語句です。これは債権・物権関係では無償寄託の分野でしか出題されることはないからです。寄託でも「有償」の寄託の場合は善管注意義務となります。

それぞれの使い方を具体例でわかりやすく解説していきたいと思います。

善管注意義務の例

不動産(アパート)の賃借人(借りた人)は、借りた不動産に対して善管注意義務を負います。これはアパートの部屋を使用する際、自分の持ち物と同じような雑な扱いをしてはいけないということです。大家さんから借りている以上、慎重に注意を払って使おうね、という義務です。

自己の財産に対するのと同一の注意の例

上で記載したように、宅建で自己の財産に対するのと同一の注意が出題されるのは「無償寄託」についてのみです。ですので、無償寄託を例にとって、自己の財産に対するのと同一の注意をみていきたいと思います。

まず無償寄託とは、報酬を受け取らずにタダで何かを預かるという契約を言います。例えば、引っ越しが済むまで大量の本を預かっていてほしいと友人が依頼してきたとします。このとき預かった側は、自分の持ち物と同様の注意を払って管理をすればいいということです。

したがって、雨が続いても本にカビが生えないようわざわざ風通しの良い場所に移動しなくてもいいですし、臭いがうつらないよう特別に何か配慮しなければいけないというわけでもありません。

通常自分の本に対して、そこまで気を配りませんよね?(なかには管理が行き届いている方もいるかとは思いますが…)無償で預かってあげている以上、さらに注意まで払う義務を課すのは、預かった側にとってあまりにも酷だからという理由によります。

一方「有償」で寄託を受けた場合は、自己の財産に対するのと同一の注意は適用されず、善管注意義務が適用されることとなります。

善管注意義務とは?

委任における善管注意義務

受任者の義務として、善管注意義務を負います。ここで注意して覚えておきたいのが、「委任は無償でも善管注意義務を負う」ということです。さきほどの「寄託」では、有償の場合のみ善管注意義務を負いました。しかし委任においては、そもそも報酬が支払われないものと解されているのです。

❝1.受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。(以下省略)民法第648条(受任者の報酬)❞

したがってもともと無償の場合を想定して善管注意義務が課されているので、無償でも有償でも、委託の場合は善管注意義務を負うこととなります。

委任における善管注意義務委任とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

使用貸借における善管注意義務

使用貸借で借り受けた場合も、善管注意義務を負います。使用貸借とは、無償で借り受ける行為を言います。

賃貸借の考えでは借主の義務として

①賃料支払い

②善管注意義務

③用法順守義務

④目的物返還義務

が主にあり、普通の貸借はすべて、使用貸借は①以外のすべての義務を負う事になります。もともと善管注意義務は法律の概念で義務化されていたため、使用貸借でも善管注意義務となります。

使用貸借における善管注意義務使用貸借とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

善管注意義務に関するよくある質問

「善良な管理者の注意をもって」と「自己の財産と同一の注意をもって」の違いは何ですか?

2つの注意義務を比較すると善管注意義務の方が、重い注意義務が課される、ということを覚えておいてください。

委任・寄託と善管注意義務の関係を教えてください。

注意義務については以下の通りとなります。

委任 - 有償・無償どちらの場合も善管注意義務

有償寄託 - 善管注意義務

無償寄託 - 自己の財産におけると同一の注意義務

ただし、商事寄託の場合には無償の場合であっても善管注意義務を負います。

使用貸借と寄託の違いを教えてください。

法律では

使用貸借は「物を利用して返還する契約」

寄託は「役務(サービス)を提供する契約」

という定義となっております。

「物を利用して返還する契約」の場合は、借りた「物」をなるべく元の状態にして返すという日本の考えが法律化されているため、「善良な管理者の注意義務」となります。

一方、「寄託」はサービスですので、有償の場合と、無償の場合の扱いが異なることになります。